ラブレター

 なつかしい響きだなねえ。でも、恋のではなく仕事の。
 あのひとにこんな文章を書いて欲しい、あのひとのこんな本を作りたいと思っても、すぐには手紙を書かない。恋のこころが熟成し発酵するまでひたすら待つ。芳香を放つまでになったら、タイミングを逃がさず一気呵成に書く。しかして、恋が成就することもあれば、失恋に終わることも間々ある。いずれにしても、強がりでなく気持ちがいい。やることをやったという感じがするからだ。その時ダメでも、縁があって、またつながったりするところも恋に似ている。