句柄

 

・五月雨や往きも復りも傘の音

ひとがらということばはありますが、
くがら。
そんなことば、
あるかないか。
芭蕉七部集を読んでいると、
連句をベースにして発句から
俳句が独立していく過程に立ち会っているような、
そんな興奮をおぼえますが、
それはそれとして、
芭蕉をはじめ弟子たちの
長句、短句、俳句がいくつも取り上げられており、
だんだんと、
それぞれの詠みぐせみたいなものが
みえてくるようで、
会ったことのない昔の人が
そこにいるような錯覚におちいります。
山本荷兮(やまもとかけい)は、
名古屋のひとで
医者でもあったそうですが、
詠いっぷりがドラマチックというか、
おおきいというか、
ときに大げさというか。
それと、
少々せっかちだったか。
いろんな想像がめぐります。

・苦味ありそれもまた佳し鮎の腹  野衾