山の霊気

 

・山菜の土を払ひて暗き土間

季節になると、
山菜のせんせーのりゑばあちゃんをはじめ、
家族総出で山菜をとってきては、
食卓に色を添えました。
どこの農家もそうだったでしょう。
それをふつうのこととして見ていましたが、
いま思えば、
山の霊気をいただいた
のっぴきならぬ、
ありがたい時間であったなあと…。
新井奥邃(あらい おうすい)につぎの言葉があります。

視よや、目を挙げて之を見れば霊天明かなり、
胸を開いて之に触るれば
霊気清くして福(さいわい)の音(おとずれ)を聞く、
霊心動いて静息深く、
霊明の力は太陽よりも健にして直(なお)し。

・山を愛で山人たちの這ふ日かな  野衾