・喧しの町を灯して四葩かな

細かい字の校正で疲れ果て、
幽霊のように階段をふらふら下りてゆくと、
道の端になにやら黒い物体。
あっ!
うごいた!
シャッキーン!!
眼が覚めたよ。
ネズミだ。
それもけっこうでかい。
電車の線路や地下鉄で見たことはあるけれど、
ごくふつうの道に堂々と現れた
ネズミを見るのは、
都会に出てきて初めてかもしれない。
すぐそばにホテルがあるから、
そこに棲むネズミかも。
なんだか嬉しくなってケータイを取り出し、
写真を何回か撮るものの、
ネズミめ、
おとなしくしていてくれない。
あっちに走り、
こっちに戻り、
またあっちに走りして。
知らぬ間に若い女性が近づいてきて、
ネズミの写真を撮ろうとジタバタするわたしと
右往左往するネズミに
涼しい視線を投げはしたものの、
自分の進路を少しも曲げることなく
スッスッスッスッ、
我関せずとばかりに
歩いて行ってしまいました。
そんなこんなで
やっと撮ったのが下の一枚。
こういうとき
ケータイはダメだよなぁ。
すぐにシャッター切れてくれないんだもん。

橋本照嵩『石巻かほく』紙上写真展
の十八回目が掲載されました。
コチラです。

・梅雨晴れ間浮かれ鼠も踊り出づ  野衾