記念日

 

・とりどりの食べたきほどの濃紫陽花

「明日、結婚記念日なのよ」
「そう。おめでとうございます。何年目?」
「十五年目」
「へ~。どんな感じ?」
「なにが?」
「十五年もいっしょに暮らしていると?」
「空気のようなものね。
向こうもそう思っているはずだし。
去年なんか、忘れていたもの。よかったわ思い出して。
けさ、トイレのカレンダー見ていて思い出したの」
「いっしょに暮らすって大変よねー」
「そう。基本、合わないし。
たとえば、歩くスピード一つとっても合わない」
「分かる分かる」
「どっちかが合わせるしかないのよ」
「そうね」
「あなたなんか背が高いし、
脚が長いから合わないことあるでしょ」
「あるある」
「我慢したり譲歩したりしているうちに、
空気みたいな存在になるのよ」
「そうかもね」
「さてケーキでも買って帰ろかな」
尾道ラーメン店、
隣り合わせたテーブル席での女性二人の会話実況でした。

・雨も好し晴れても好しのこの季節  野衾