月下の一群

 

・卯の花や匂はなけれどにほひたつ

歴史に名を残す訳詩集『月下の一群』
訳したのは、堀口大學。
フランスの近代詩人六六人三四〇篇の詩が収録されています。

私の耳は貝のから
海の響をなつかしむ   (ジャン・コクトオ「耳」)

などは、
すぐに憶えられるし楽しいし。
キザっていえばキザだけど。
でも、
なんだかいいじゃない。

かと思えば、

退屈な女より
もつと哀れなのは
かなしい女です。   (マリイ・ロオランサン「鎮静剤」より)

からはじまって
「もつと哀れなのは」がいくつもつづいて行くのですが、
最後の決めぜりふ(!?)
がふるっています。

死んだ女より
もつと哀れなのは
忘られた女です。   (マリイ・ロオランサン「鎮静剤」より)

電車の中で読んでいて、
プッとふきだしてしまいました。

・南より梅雨宣言の旗が立つ  野衾