五月

 

・木々揺れて悲喜とどまりし五月かな

いい季節です。
木々に若葉が萌えだし、
歩いていてもそれと分かりますから、
つやつや光る葉に見とれ深呼吸することしばし。
古来日本人は、
五月を味わい愛で、
ああ、いい季節だなやぁ、
あああ、
などと感慨に耽ってきたのでしょう。
この季節、
ツツジが咲き、
サツキが咲き。
サツキは漢字だと五月(皐月)。
そう表記されたことで、
旧暦の事ではありますが、
サツキは五月を代表する花になりました。
それにしても、
かわいそうなのは、
ハエ。
五月の鷹なら
寺山さんにも詠まれて、
ますますかっこよくなったけれど、
五月のハエは
五月蝿と書いて「うるさい」ですから。
いい季節だと人間が勝手に思い、
勝手に
いい気分に浸っているときに、
我れ関せずとばかりに、
ブ~~~ン
と飛んできては
一気に興を殺いでしまう蝿。
そんなところからの命名なのでしょう。
この季節、
主に秋田でのことですが、
「こんちくしょう!」と声を出し、
無駄な殺生を繰り返してまいりました。
ナンマイダナンマイダ。

・うるさいと名指され自棄の五月蝿  野衾