蛙語

 

・人語絶え静かの闇を遠蛙

耳が変わったのか、
人が変わったのか、
まさか蛙は変わらないから、
おかしな話ではありますが、
秋田でも横浜でも、
蛙の声がこのごろ違って聴こえます。
ゲロゲロゲロとか、
ゲコゲコゲコとかと表記され、
それを見れば、
蛙と思って読むけれど、
烏がカーカーと鳴かないように、
蛙も
ゲロゲロ、
とか、
ゲコゲコ、
とは鳴かないようです。
草野さんなら、
るるるるるるるるるる、
あるいは、
ケルルンクックでしょうか。
わたしには、
カスタネットを高速で叩いているような音に聴こえます。
草野さんの
「るるる…」も悪くないと思いますが、
日本語の場合、
すぐに母音が張り付き、
「るるる…」を発音すると、
由紀さおりの
「夜明けのスキャット」よろしく
「るぅるぅるぅ…」
に近くなる。
日本語の特性ですから
仕方がないとはいうものの、
蛙は日本語を話しているわけでなく。
日本語でなく蛙語。
そんなところに
耳が行くようになったのも、
俳句をやり始めたからかもしれません。

・tttttrrrrrrr蛙かな  野衾