道具考 4

 

・蜂の飛ぶ辺りに我も迷ひ入る

便利ですよと
よく耳にしていたのですが、
なんとなく
必要を感じないで、
買わずに過ごしてきていたところ、
俳句に懲りだし、
さていよいよ吟行だということになり、
吟行には、
歳時記と国語辞典が欠かせない
ようであり、
国語辞典の代わりは
ケータイで済ますとして、
問題は歳時記。
ふだん使っているのは、
角川書店の『合本 俳句歳時記 第三版』で、
とても重宝しているとはいうものの、
文庫本サイズながら、
一三〇六ページもあり、
結構な重量。
そこでついに買いました。
電子辞書CASIO EX-word XD-D6500
結局、
予定されていた吟行は
宗匠の都合がつかず、
ふつうのウォーキングとあいなり、
新兵器の登場には至りませんでしたが、
電子辞書は使ってみると、
さすがに便利で、
歳時記もさることながら、
難読漢字の読みと意味を調べるにあたり、
もはや、
紙の漢和辞典を使うことは
ほとんどなくなりました。
というのは、
画面に手書き入力した字を
機械が勝手に読み取り、
目的の字の読みと意味を
教えてくれるからです。
また、
搭載されている『日本歴史大事典』には、
新井奥邃がちゃんと載っており、
執筆者は山川令子さんとなっています。
わたしは存じ上げませんが、
ひょっとしたら、
奥邃に親炙し、
自身の訳書『ダンテ神曲』に奥邃の序文を入れて上梓した、
山川丙三郎さんのお嬢さんかな、
と想像したりしていますが、
実際のところはまだ分かりません。
それはともかく。
こういう今どきの機械に、
新井奥邃の名前がでてくることに、
驚きと不思議な感動がありまして。
機械に、
というよりも、
そもそもは、
『日本歴史大事典』に掲載されている、
ということではありますが…。

・つつじ咲くフォークダンスを踊りたし  野衾