森鷗外訳『即興詩人』

 

・遮断機の先やゆらりと夏の海

 

朝、
コーヒーを淹れながら少しずつ読んでいるアンデルセンの
『即興詩人』
訳者は森鷗外。
文語文で書かれており、
すらすら読むことは叶いませんが、
こころを落ち着け
ゆっくりすすむと、
物語の世界が静かにひらけてくるようです。
口語文と比較し、
内容を理解するのに手間取るのに、
なぜあえて文語訳をえらぶかといえば、
ひとつにはリズム。
つい音読してしまいます。
無駄を省いた文語のリズムが心地よく、
からだ全体に響いてきます。
画家で絵本作家の安野光雅さんが一時
文語文に嵌ったことがあった
そうですが、
むべなるかな。
さて、これからコーヒーです。

 

・青々と息深くなる雲の峰  野衾

 

早起き

 

・夏の朝戯れ来たる雀かな

 

体調が旧に復しつつありまして、
それに連動し
起床も日に日に早くなり。
パソコンに向かいしばらくこうしていると、
この時間もふつうでなく、
いただくもので。
安息もごはんもいただきます。
きのうのビール、
美味かった。
青島ビール。

 

・納豆の糸ひく如し蟬の声  野衾

 

大雨時行

 

・立ち漕ぎの自転車揺れる蟬しぐれ

 

今週七十二候では、
大雨時行。
たいう ときどき ふる。
その暦どおり、
きのうの午後から夜にかけ、
関東では大雨が降り。
きょうは八月二日。
お盆がだんだん近づいてきます。
お盆といえば、
『お盆の弟』
監督の大崎さんを見かけました。

 

・来ないねだれもそのうち来るさ雲の峰  野衾

 

蟬しぐれ

 

・夏深し空ぐるぐると鳶の声

 

種類はそんなに多くないと思いますが、
おそらく
数十匹の蟬の声が入り乱れ、
朝からとてもにぎやかです。
音のシャワーのようでもあり。
空を蔽うドームのようでもあり。
一匹の蟬はうるさくても、
数十匹、
数百匹となると、
不思議にうるさい気がしない。
こんな感じかな閑さは。
きのう、
ベランダに油蟬でしょうか、
ころんと死んでいました。
蟬の死骸はいかにも軽く、
これにいのちが宿っていたとはとうてい思えません。
そう考えると、
いのち丸ごと鳴いている
ようでもあります。

 

・鵠沼やミルク金時匙を嘗む  野衾