もやもや感

 霜柱うすむらさきに匂ひけり
 年2回発行することになっている春風目録新聞のための原稿依頼の手紙を書いた。大げさに言えば、(大げさでもないのだが)ひと月ほど前から、どんな角度からどんな文面でどんなふうにお願いしようかと、自分の中でそのことを考え、もやもやした気分を醸成させている。
 たびたび思い、考える。結論の出ぬまま何度でも。あまり生産性のない所作ではあるけれど、絶対に欠かすことのできない時間だと自分では思っている。アタマで文章を書いてはいけない。
 もやもやがようやく発酵してきたとなったら机に向かうが、もやもやっとした感じが失われぬようにまず書いて、ははあ、こんなふうにもやもやしながら、こんなことを感じ分けていたのかと、もやもやの輪郭が次第に見えてくる。ここで急くと、またアタマでっかちな文章になる。落ち着きのない子供が遊ぶように、動物園の白熊が右往左往するように、机上の文書を手に取ったり眺めたり、引き出しを開けたり閉めたりしながら、でも忘れずに、また件の文章に戻って、もやもやの落ち着くところを探る。
 きのうは3通書けた。

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