床屋

 川中に馬歩み入り湯気立ちぬ
 月に一度行く床屋に行った。坊主頭なので30分とかからない。ヒゲを剃ってもらえばもっとかかるが、ずいぶん前からヒゲは自分で剃ることにしているから、散髪だけしてもらうことにしている。
「いつも言ってることですが、一年ははやいですねぇ」と床屋。「そうですねぇ」。ほ。
 それからウィーンウィーンと電気バリカンで髪を刈り、頭を洗い、「はぁーい、お疲れさまでした」。財布から千円札を一枚出し、帽子を被り、礼を言って外へ出た。散髪した分だけ帽子がスカスカするようであった。
 もやもやと馬小屋の草香りけり
 こめかみに筋立て草食む青き馬

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