教え子

 休日、横浜駅のホームで、横須賀の高校に勤めていた時代の教え子を見た。線路を挟んで反対側のホームを歩いていたから見間違えるはずはない。
 Yさんは高校生のときからスッと立ち、涼しげに颯爽と歩く。よほど声をかけようかとも思ったが、やっぱり、よした。
 Yさんはちょっと立ち止まり、数秒なにか考える風情だったが、上り東海道線の電車がわたしの乗る横須賀線の電車よりも早く到着し、人ごみの中に消えた。声をかけずに良かったと思ったけれど、だまって見ていたことを少し後ろめたく感じた。

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