ギリギリの帯

 帯っていっても着物の帯じゃなく本の帯、腰巻、腰紙ともいう。本に関わる仕事をしていれば別に説明を要しないだろうが、一般的には聞き慣れない言葉だろう。いろいろサイズはあるけど、本のカバーのそのまた上に幅5センチから10センチくらい(たまに15センチくらいのもある)の紙が巻かれている。アレが帯。本のタイトルとは別に、その本がいかに魅力的かを伝える惹句をのせたり、著名な人から推薦文をもらい、のせたりする。
 さて、先日『大葬儀』というとんでもない漫画について、ここで感想を述べさせてもらったが、もっとほかのも読んでみたいという切なる欲望がふつふつともたげてきて、2冊買った。『踊る!クレムリン御殿 空想科学ソビエト社会主義共和国連邦漫画』(平和出版)と『喜劇 駅前虐殺』(太田出版)がそれ。タイトルからしてぶっ飛んでいるが、もっと驚いたのは帯!
 まず、著名人絶賛!? とゴチック体で書かれている。こんな漫画(失礼! だって、ぱらぱらめくっただけで、いいのこんなこと書いてというぐらい、パロディーがきついんだもん。コルホーズ図解なんてあるけど、笑いすぎて涙涙涙!)に誰が推薦文を寄せているのだろうと思いきや、
 スターリン「おもしろい!ハラショー!!」
 レーニン「革命家のバイブルだ!!!!」
 トロツキー「頭が痛い…」
 ゴルバチョフ「この本さえあればソ連は解体せずに済んだものを!」
 エリツィン「もっと酒よこせ!」
 ガガーリン「宇宙に行く時は必携の書だね」
 シベリアンハスキー「ワンワンワン!」
 シベリアンハスキーってなにさ。ね、凄いっしょ。これ、ロシアから苦情来ないのかな。以前、企画で『ハムラビ法典』を出そうかって若頭ナイトウと話し合ったとき、その帯には絶対ブッシュの推薦文が欲しいねってことになった。どういう文面かといえば、「目には目を!歯には歯を!」その考えを本当にやったのがこの漫画といえる。勇気をたたえたい!
ハラショー!!