祈り

 今其れ人を愛するに於て一法有り。人工の法に非ず。姑(しば)らく之を循環黙愛と謂はむ。何ぞや。譬えば此に友十人ありとせん。我れ静黙以て日に其一人を胸裏に特愛し、十日にして全部に及ぶ。終りて復た始まる。循環して已まず。諸友各々亦此の如くす。此れ集団を神愛するの一法也。(1904年「信感第二」『新井奥邃著作集』第二巻327頁)
 作家の五木寛之と気功師の望月勇の対談集『気の発見』のなかに、昔の人は祈りを感知できたという話が出てきて、それほど違和感なく読めたのは、上の奥邃の言葉が引っ掛かっていたからだろう。