同窓

 いま用意している『魂のかけら ある物理学者の神秘体験』の著者がわたしの出た大学の先輩であることがわかり、さらに親しみを感じメールを差し上げた。同じ土地にいたというだけで、説明を要しないことがある。たとえば、青葉城、広瀬川、評定河原と書けば、その土地に住んだことのある人なら誰でも特別の感懐を抱くであろう。
 こんなことがあった。陸上部に所属していたわたしと、高校の陸上部で一緒だったが大学では部活動をしていなかった友人Wはしばらく毎朝3キロほどをジョギングした。朝靄にけむる仙台の町の空気は清清しかった。わたしは短距離専門ではあったが大学の現役陸上部、Wは現役ではないけれど高校時代は中・長距離の選手。互いにプライドがあり、スローペースで軽快なジョギングで始まる朝の運動が、ゴール付近では1メートル、30センチでも勝ちたくて必ず全力疾走に変わった。汗だくへとへとになり、二人して講義を休んだこともある。懐かしさがこみ上げてくる。