惜しむ

 やっぱり。キーボードで試しに「おしむ」と入力すると、最初に「惜しむ」と変換される。音で「おしむ」と聞いて「惜しむ」の意味を思い浮かべる人は多いだろう。そのことを踏まえてに違いない。
 昨日のことだ。出社の折、紅葉坂の途中にある店の外に置かれたラックに入って、スポーツ紙が風に揺れていた。見るともなくひょいと見たら、「オシム、全力を尽くす!」の文字がでかでかと踊っている。サッカーのことはあまり知らないけれど、日本チームの次期監督が、今のジーコに代わりオシムになることぐらいは知っている。「オシム」と片仮名で書けば人の名前と分かるが、音の「おしむ」からはどうしたって「惜しむ」を連想してしまう。そこで「全力を尽くす!」の可笑しみが生じるというわけだ。記者も、そう考えて見出しをつけたのだろう。
 オシムさんが監督を務める期間中、いろんなところで「惜しむ」に引っ掛けたダジャレ的タイトルが飛び交うことになるだろう。本人にしてみれば、いい迷惑。だって、これからいくら全力を尽くし頑張っても、尽くしても尽くしても、名前がオシムなんだもの。