山菜
横浜で秋田の山菜を食べられるとは思わなかった。帰宅途中によく立ち寄る小料理千成のオヤジさんが、わたしが秋田出身であることを知っていて、市場にほんの少量出ていたのを見つけ、仕入れてきてくれたのだ。シドケというこの山菜、地元では春の山菜の王様ということになっている。アイノコという山菜もあり、これが一番と思っていたのだが、親に確認したところ、シドケが一番だと教えられた。味と稀少性によるものだろうが、ともかく、おひたしにして花鰹を少々振りかけ、醤油を数滴垂らすだけで山の幸を堪能できる。少し苦味のあるところが山菜ならでは。
ちょうど今から山菜を採りに行こうとする時にこの文章を読みました。
こちらでは「シドケ」は「シドキ」とも言い、「モミヂガサ」と言うこともあります。確かに美味しい。僕はむかし奥会津で仙人生活をしていたことがあるのですが、雪の多い所の山菜は柔らかく美味しいことを実感しました。モミヂガサは、黒褐色の腐葉土の斜面に、毎年正直に色濃く太く柔らかいものが出ます。
雪国のワラビも美味しい。雪のあまり降らないこの辺のひょろひょろワラビとは、色も太さも柔らかさも違います。緑というより黒に近いようなワラビを、奥会津時代、イワナ釣りの帰りに採ったことがあります。地元の方に和船を借りて、川向かいに流れ込む小さな支流で魚を釣った帰りでした。今頃だとまだ雪渓が残っているでしょう。もう少し後の頃です。
さて、秋田の山菜も美味しい。僕が通っている「男鹿」という小料理屋は、今頃になると秋田の山菜を出します。シドケ・ミズナ・イラクサ等々。そこの女将さんは秋田高校の出身で、例にもれずとてもきれいな方です。親爺もいい男で、楽しみは冬のスキーと、毎年一度のヨーロッパのオペラハウスでオペラを観てくることなのだそうです。
近いうちに横浜に仕事で出かける用事があるので、憧れの「小料理千成」に行ってみようかと思っています。
>仙人さま
ご無沙汰しております。
山菜は美味いですねぇ。食するたびに山の香りや空気を吸い込んでいるかと思うぐらい新鮮でハッとします。子供の頃はそんなふうにも感じませんでしたが、人の手が加えられていないものの味というのは格別と改めて感じさせられます。