陰鬱

 きのう、小・中学校の同級生からメールがあった。あまり連絡してくることのない人で、珍しいなと思って読んだら、同じクラスのS君が亡くなった、という報らせだった。
 気になったので、夜、仕事が終わって帰宅途中、報らせてくれた幼なじみに電話で訊いた。
 S君だということは最初わからなかったらしい。崖から海に落ちている車を、自転車で偶然通りがかった人が見つけ110番通報、新聞では、50代ぐらいの男性の死体が見つかったと報道されたらしい。後に、身元がわかったが、今のところ死因は不明…。
 すぐに、自殺だな、と思った。なんでだか解らないが、そう思った。おそらく、今の気分がそう思わせたのだろう。
 仕事はおかげさまでまずまず順調と言える、健康は、血圧と尿酸値を下げる薬を飲んではいても、ビールと一緒に飲んだりして、すこぶるいい加減、カネも、若い頃のように借金してまで飲んでいるわけではないから、少しはある。けど、何かが決定的に欠けているように感じる。
 自分で解決しなければならない。でも、時々、縁を歩いているように思って恐ろしくなる。S君はどこいら辺を歩いていたろうか。障害物が恩恵に思えることもあろう。仕事や趣味が防波堤とは限らない。このズブズブ沈んでゆくような時間が強敵なんだ。
 農繁期のこととて、幼なじみの女性が言うことに、作業場で米を搗いていたとき、ぼくから電話が掛かったのだと。こんなに遅くまで仕事をしているの?
 気持ちが沈んでいくまま話しつづけるのがだんだん辛くなる。体に気をつけて、とだけ言って電話を切った。