装丁

 本の外回りのデザインを装丁(そうてい)という。装幀とも書く。プロの装丁家に依頼することもあれば、社内でチームを組んで仕上げることもある。編集担当者みずから装丁する場合もある。
 プロの装丁家に依頼した場合、できることはできる、できないことはできない、とハッキリしているから、仕事としてはやりやすい。それで食べている職業人だから、一定のレベルのものが仕上がってくるのを待てばよい。
 逆に、編集担当者みずから装丁する場合、最初から本の中身をよく知っていてデザインを考えるから、プロの装丁家が作ったものとはまた違って、味のあるものができることもある。
 問題は、「社内でチームを組んで」だ。装丁の仕事だけで食べているプロフェッショナルではないし、なにしろ社内、同僚ということもあるから、これはできる、これはできない、というわけにもいかないことだってある。その場合、いちばん大事なのは、編集者と装丁担当者とのコミュニケーションだ。会議みたいなコミュニケーションだけでなく、イメージが伝わり、装丁担当者のどこかにパッと火が点されなければならない。そのためのコミュニケーション。写真を使うか、絵を使うか、はたまた文字だけでいくのか、素材を考えるのはその後でいい。素材を考えているうちに閃くということもあろう。とにかく火。これが点されないところでいくら考えたって、それはまさに泥沼に嵌っていくようなもの。イメージが収斂するためには、装丁担当者が編集者に向かい「そんなんじゃできません!」とキッパリ言う場面があっていいだろうし、編集者も、装丁担当者に向かいどんどんイメージをぶつける、伝える、浸透させる必要があるだろう。