強そうなタイトル
小社で一番強そうな書名は、なんといっても『倭寇』。
倭寇とは、13世紀から16世紀、朝鮮半島・中国大陸の沿海地域を侵犯・略奪した日本人に対する朝鮮・中国側の呼称(『大辞林』による)で、これに関する研究を一冊にまとめた。そのタイトルがずばり、『倭寇』。担当したのは若頭ナイトウ。税込13650円の大部の真面目な研究書だが、そのこととは別に、この単純明解、屹立するようなタイトルが、ナイトウもぼくも大好きで、『倭寇』につづく強そうなタイトルはないものか、日々、頭を悩ませている。
と、最近、『百姓一揆事典』という本が民衆社から刊行された。これも相当に強そうだ。定価も税込26250円で『倭寇』に負けていない。なので、向こうが百姓一揆ならこっちは土一揆で行こうか。『土一揆事典』どうです? 強そうじゃありませんか?
ところで、問題は、本の中身を置いといて、タイトルの強さを云々するわれわれは一体何なのかという問題。それと、強そうと感じる「強」の内実は何かということ。これを明らかにしない限りまったくもってナンセンスなわけだが、確かにそれはそうなのだが、でもやっぱり強そうと感じて、好きだ。自分がわからん!
「うつぼの中の国語教師」うーん、あのコワモテのうつぼの体内に国語教師がひそんでいて、「いづれの御時にか」などと教壇から仰る。おどろおどろしい声が教室中に響く。いんじゃないんでしょうか、そういう授業。生徒に絶対ウケる。
だいぶ前に、僕の記憶が確かなら、天ぷら屋で「うつぼ」を食べました。たまにシュノーケルをやる僕は、ウツボは恐怖の対象です。話によると、うつぼは、ウニを捕ろうとする手に噛みつき、すごい力で自分の穴に引っ張り込み、人間は溺死。こわ!
うつぼはしかし、淡泊で美味しかった。
『るつぼの中の国語教師』は、しばしば、あるいは、わざと、「うつぼ」とか「どつぼ」とか言われます。「どつぼ」では洒落になりませんが、「うつぼ」だと、けっこうシュールで少し強そう。