網戸

 家の中をつらつら見ていて気になることの一つに網戸がある。数年まえ、ツーッと一箇所破れた。ベランダをいろんな猫が通り過ぎるから、やんちゃなのが引っ掻いたかと思った。が、どうもそうではない。ジャンプ力のある猫でも絶対に届きそうもない高い場所まで破れている。と見ている間に、あっちもこっちも…。
 網戸というのは、日が経てば黙っていてもポロポロ破けるもののようなのだ。知らなかった。小料理千成のカッちゃんは、この辺(保土ヶ谷橋の交差点を中心に半径2キロぐらいの地域)のことならなんでも詳しいから、網戸を修繕してくれるところを教えてもらい、さっそく訪ねてみた。親切な社長さんで、「頼まれれば、仕事ですからすぐにもやりますが、季節がら、今は網戸は必要ないでしょう。網戸の網は日光に弱い。冬の日差しは結構強いから、来年の五月頃に取り替えたらいかがですか。もったいないですよ」と教えてくれた。なるほど。それもそうだ。「はい。わかりました。そうします。また改めてお願いにまいります」と言って店を出た。
 と、と、と…? そうか。思い出した。あのお店、山形の工藤先生直伝のラーメンを作るのに必要な業務用のデカい高価な鍋を買った店だった。そうだそうだ。たしか定価が1万5000円。まけて1万4000円だったと思う。