新刊三点

 『刺青墨譜』『北上川』『赤十字の父 アンリー・デュナン』と三点つづいて、できてきた。
 統一は取れていない。不統一の統一。自嘲でなく、そこがウチらしいのかもしれない。いろんなものを手作りで作るから、楽しいし、それぞれに愛着がある。本も商品だから売れなければ意味がないけれど、六年やってきて思うのは、宣伝広告費(ウチは微少)を使って不特定多数に売るよりも、まず著者に喜んでもらえる本作りが一番だということ。著者が喜んでくれれば、それが核となって必ずじわりと反響が広がるものだ。そういう売れ方についてならカウントできる。そのことを大事にしたい。
 きのうの夜、『刺青墨譜』の著者である斎藤さんが奥さん同伴で来社された。筑波に用事で行かれた帰り、貴重な時間を割いてわざわざお礼にみえられた。ありがたかった。こちらこそ、いい本を作らせてもらってありがとうございましたとお礼を申し上げた。別れ際「これからもよろしくお願いします」と挨拶すると、斎藤さん「こちらこそ」と。頭を下げられたその姿勢が決まっていて身に染みた。
 今日はまた元気じるしの橋本照嵩が来る。写真集『北上川』の出版を記念し内輪のパーティーをやることになったのだ。橋本さん、故郷石巻の笹カマ屋に連絡し、笹カマを本日着で送ってくれた。笹カマは仙台がつとに有名だが、元々は石巻が産地だそうで、そこに仙台の資本が入っていったということらしい。
 橋本さん、入口のドアを明けると、「よっ。よっ」と手を上げみんなに挨拶しながら真っ直ぐわたしのところまで進んできて「どうもどうも」と言って右手を差し出す。わたしも右手を差し出して握手。それが毎度恒例になっている橋本さんとの挨拶。