装丁は楽し!

 前の勤め先では編集担当者が本の装丁もするのが普通で、相当の数をこなした。会社をはじめてからも何冊かは自分でやった。『新井奥邃著作集』がそうだし『明治のスウェーデンボルグ』や『梅津八三の仕事』。
 『明治のスウェーデンボルグ』では木の感じを出したいと思い、実際に板を使って装丁した。梅津八三のは木とか土でなく、もっと硬質の、ダイヤとかそういう。車で言ったらジャガーだろう。ジャガーが好きだし。「個人的」もいれていいんだよ装丁に。というわけで、そういう質感にしたかった。文章から感じられる質感がオモテに出てくれるとうれしい。
 今は直接装丁することはない。でも、文章を読み、文章から得られたイメージや質感を装丁担当者や装丁家に伝える。自分で装丁するのとは違い、どこまで言葉でイメージを相手に伝えられるか、そこに困難もおもしろさもある。
 今やっている『刺青墨譜 なぜ刺青と生きるか』の装丁ラフが昨日おおよそできたが、それとはまったく別のイメージが湧いた。けさ、湧いた。こんなものだねぇ。ぎりぎり考えて、どうもしっくりこなくて、全然別のことをやっていたり、一晩寝たりすると、地下水が湧き出すみたいにふっとアイディアが浮かぶことがある。おもしろいし楽しい。出社したらさっそく田顔に作ってもらおうっと。