自発的

 先日、アルバイトに来ている若い二人を呼んで、わが社が一番大事に考えているのは、なんといっても自発異性であることを、ん!? 間違えました、自発性であることを力説。自発性が育つにはなんぼか時間はかかるけれど、それがいったん芽を出したとなると、文字通り、いろんな秘められていたものが封印を解かれたようにぐんぐん伸び始める。特に若い人はそうだ。それを見るのが楽しい。
 営業のアルバイトに来ているMさんのことは以前ここに書いたことがあるが、彼女が書店廻りをしている時に、ウチの本が割りと目立つところに並べられていて、それがよほどうれしかったらしく、うれしさのまま写メールを会社のパソコンに送ってきたことがある。会社に居合わせた者みな、彼女の行為に目をみはった。
 写メールに添えられていたコメントもさることながら、わたしはその勇気に感動した。上司から指示されただけのことを十全に果たすのが良くて、それ以外のことをするのは余計だという考えもあろうが、わたしはそうは思わない。極論すれば、自発性だけが状況を変えていく力になると思っている。だから、わたしは毎日、出社する前、和室に置いてある小っちゃな仏壇(亡くなった祖父母の写真と水を入れた湯のみが置いてある)に手を合わせ、会社のみんながそれぞれ個性を発揮し、自発的に仕事ができますようにと祈っているのだ。