良医

 昨日この欄に「おらいの先生」という題で日記を書いた。写真家の橋本さんに頼まれ、出力し、橋本さんはそれを「おらいの先生」の息子さんにFAXした。
 わたしは日記で「おらいの先生」について、「地元石巻市で名医の誉れ高かった清佶(せいきち)さんの家族写真がある。」と書いた。それを読んだ息子さんが橋本さんに「うちの親父は、名医というよりも良医という感じではなかったか」のコメントを電話で洩らされたとか。なるほど。わたしはそこに身内だからこそ感じ取るニュアンスの違いがあることを思い知った。
 「名医」も「良医」も辞書で調べれば、すぐれた医者、ということになる。が、文字通りの意味としては、「名医」は名のある医者、「良医」は単純に良き医者だ。名のある医者になるためには良き医者であることも必要かも知れぬが、それだけでは済まないこともあろう。また極端な話、良き医者でなくても、他の条件を積み重ねることによって名医にのし上がることも可能かも知れぬ。本人に確認したわけではないから間違っているかもしれないが、「おらいの先生」の息子さんが「名医」でなく「良医」と言ったことの中に、「清佶っつぁん先生」に対する情愛がしみじみと込められているような気がして、こういうことは大事にしなければならないと思った。
 そんなわけで、昨日の日記、「名医」を「良医」に訂正させていただきました。