『川柳でんでん太鼓』4
本を読んでいると、むつかしい熟語やいいまわしに遭遇し、
辞書で意味を調べたりして、はぁ、そういう意味ですか、ということで、
さっそく使いたくなります。
たとえば、閑話休題。なんだ? となって、しらべたら、「それはさておき」
とおなじ意味で、話があらぬ方向へいったときに、
本筋にもどることをさします。ていねいに、「閑話休題」のよこに、
「それはさておき」と振り仮名をふっているものもあります。
事程左様に、知るとすぐ使いたくなるのが、阿呆グセ。
ちなみにいまの「事程左様に」(ことほどさように)も、そのたぐい。
「それほど」「それくらい」を意味する副詞ですが、
わたしのような阿呆は、すぐに使いたくなります。
かしこい事をすぐに言いたくなる阿呆 (亀山恭太)
『番傘』 ’82・2。類句はありそうで私の目にはまだ入らない。実際、この句、
私のことを言われている感じがして、まいりました。
言いたくなるんですね、阿呆はムツカシイことを。私なんかの場合だと、
書きたくなるんですよ、ムツカシイ漢字や学問を、
右から左に書き写して人を驚かせたくなる。
この句、紙に書いて目の前に貼っておかなければならない。
阿呆の句になると川柳家は俄然ハッスルする。
〈あほになっときなはれという母があり〉(西尾栞《しおり》)
(田辺聖子『川柳でんでん太鼓』講談社、1985年、p.285)
・あたらしき網戸越しなる景閑か 野衾

