至福のとき

 「春風倶楽部」の記念すべき第10号の特集は「最高エッチ!」。
 世の中、エッチ、エッチのオンパレードなわけだが、エッチって、そもそもなんなのだ。コンビニで売っているおかず(それはそれで、ぼくも好きだけど)みたいなそんな軽軽しいものなのか、という疑問があったから、このテーマを設定し原稿をお願いした。
 いち早く、谷川俊太郎さん、飯島耕一さんから原稿が届く。それが、お二方の原稿とも本当に可笑しい。腹から笑い、笑いすぎて涙まで出て、それからしみじみと、自分を大事にし人を大事にすることの体験の重みとでもいったものが感じられ、ああ、凄いなあと思った。
 言葉にならない、言葉に出来ないものが確かにあるということ、しかし、言葉を尽くしそれに肉薄することにより、言葉にならない出来ないものとことは、ますます荘厳さを増していくのかと考えさせられた。
 言葉は言葉にしか過ぎなくても、こういう素敵な原稿を読ませてもらうと、改めて言葉の凄さ、言葉の在り処について考えさせられる。情報に還元されない、紙に印刷された本で持っていたい言葉たちが盛られた本、そういう本づくりは、なんといっても愉しいし、これからも続けていきたい。
 小社6年目の始まりの時にあたり、言葉に関わる仕事の太い道を示されたようで有り難かった。