手と手
先週から今週にかけて三連休でしたが、
やすみまえにお願いしていた組版の仕事がちょうど上がってきましたので、
すこしずつこなしていこうのこころで、
三日間、
校正校閲の仕事にかかりました。
二日目の仕事がえり、
保土ヶ谷橋の交差点に向かう夕刻の歩道を歩いていたとき、
反対方向から若いカップルが近づいてきました。
だんだん声が大きくなります。
寄り添って歩くカップルの声の主は男性のほうでした。
電車が目の前を通りすぎるときのように、
ドップラー効果よろしく、男性の声がわたしの耳をかすめて通りすぎます。
ほんの一瞬のことでしたが、
すこし理屈めいたことを話しているようでした。
けして愉快な話ではなさそうです。
寄り添う女性は、
深読みかもしれませんが、ほんのちょっと悲しそうにも見えます。
歩を止め、ふり返りざま、しばしふたりを見送りました。
と、
ふたりは手をつないでいました。
ああいう口調の話をし、
耳元で話を聞き、
それでも手をつないで歩く。
つないだ手と手は離さない。ゆるぎない。
わたしはまた自分の歩く方向へゆっくり歩きだします。
・春風にささめき交はす野の花よ 野衾

