ビートルズのこと 1

 

学校でならう音楽以外に好きだったのは、
三橋美智也さんとか春日八郎さんとか二葉百合子さんの歌でしたが、
ビートルズの「ヘイ・ジュード」が、
父の運転する自動車のラジオから聞こえてきたときのことを忘れられません。
ビートルズも「ヘイ・ジュード」も知りませんでしたし、
もちろん歌詞の内容も分かりません。
ポール・マッカートニーさんの声とメロディーに魅かれたのだと思います。
じぶんの好きだったひとにまつわる本を読むと、
そのひとびとが生きた時代が見えてきて、
その端っこにじぶんもいるんだなぁと思えることが間々あります。
マーク・ルイソンさんの『ザ・ビートルズ史 誕生』は、
「誕生」とありますから、
さらにつづきが予定されているようですが、
『誕生』だけで日本語訳でいうと、
上下巻あわせ1600ページをゆうに超えています。
ビートルズがいわゆるビートルズになる前のことですが、
メンバーの家族の歴史も知ることができ、なおいっそう好きになりました。

 

当時フレアパンツをはくのはフランス人だけだった。
二人はまた、アストリットや(アストリットが縫って)スチュアートが着ていた
襟なしのラウンドネックのジャケットを見ていたが、
その発祥の地もフランスだった。
そのジャケットは
ピエール・カルダンが1961年春のパリ・コレクションで発表したデザインで、
ジョンもポールも気に入っていた。
「ムーラン・ルージュ付近にたむろしてる奴らは、
61年にはもうフレアパンツをはいて、ラウンドネックのジャケットを着てた。
ピエール・カルダンによるデザインだ。
ぼくらはそのジャケットが気に入って、店に行って一着買ったんだ」
(マーク・ルイソン[著]山川真理・吉野由樹・松田ようこ[訳]
『ザ・ビートルズ史 誕生』(下)河出書房新社、2016年、p.186)

 

1961年10月のことで、この時期、
ジョン・レノンさんとポール・マッカートニーさんはパリにいたようです。

 

・青々と物みな光る冬日かな  野衾