方言の味 3

 

父が割とつかうことばに「わっぱが」があります。
「わっぱが、でぎだ!」
というふうなつかい方をすることばで、
無明舎出版から出ている秋田県教育委員会編の『秋田のことば』に、
「仕事の量の割り当て、またその割り当てで働くこと」
との説明があります。
父が発する「わっぱが、でぎだ!」
は、
だれかから指示されたわけではなく、
じぶんで決めた、やらなければいけない仕事が終った、完成した、
そういうニュアンスを多分に含んでいるようです。
齢90を過ぎており、
歩行が困難になった母のこともありますので、
一日の暮らしのひとつひとつ、
ていねいに意志をもって、し遂げているかと想像します。
『秋田のことば』にはまた、
「「はかがゆく」「はかどる」の中にも痕跡のある語」との説明もあります。
ついでなので、
『広辞苑』で「はか」を調べてみた。
漢字で【計・量】と表記され、
①として、
「稲を植えたり刈ったり、また茅を刈る時などの範囲や量。
また、稲を植えた列と列との間をいう。
万葉集(10)秋の田の吾が苅りばかの過ぎぬれば」
との説明があります。
なるほど。
「はか」は、稲作に関連して、古くからあることばのようです。
わたしもときどき声にだして言ってみます。
「わっぱが、でぎだ!」

 

・きしきしと雪靴雪を踏む音かな  野衾