そう思います。

 

四月十九日(水)『秋田魁新報』の「五木寛之 新・地図のない旅」
のコラム欄に、
「言葉が減っていく時代」
として掲載されていた五木さんの文章に共感し、
考えさせられました。
以下は、
その後半部分からの引用です。

 

東北の雪深い土地では、昔は、
「どさ?」
「ゆさ」
などという会話があったと聞いたことがある。
「どこさ行くの?」
「湯に入りにいくんだよ」
というやりとりは、なんとなく滋味あふれる感じで、いいなあ、と感激したものだった。
しかし、
それも雪深い寒気のなかでの会話だから情緒があるので、
ふだん言葉を節約する必要はないのである。
昔は口数が多いと、
なんとなく白い目で見られることもあった。
<男は黙ってナントカ・ビール>
などというコマーシャルもヒットした。
しかし口数が少なければ誠実、というわけでもないだろう。
少なくとも
「こんにちは」「ありがとう」「ごちそうさま」「さようなら」
ぐらいの言葉は節約せずに、
ちゃんと使ったほうがいいと思うのだ。

 

五木さんの文章にある「どさ?」「ゆさ」は、
かなり流布しているらしく、
テレビでも紹介されているのを以前見たことがあったような。
だけど、
「どさ?」「ゆさ」にかぎらず、
これは、
方言について回るどうすることもできない問題かと思いますけれど、
土地の人以外の方が「らしく」発音する
のは、
相当に難しいらしく。
テレビで「どさ?」「ゆさ」を耳にしたときも、
そう感じました。
ところで、
「どさ?」「ゆさ」を、
わたしは、
小学生のころに、
教科書で習った記憶があります。
なぜ憶えているかというと、
「どさ?」「ゆさ」がいちばん短い会話として紹介されていたから。
そんなことはない、
と、
子どもごころに思いました。
いちばん短いのは、なんといっても、
「け」
「く」
じゃないべが? って思った。
「食べなさい」
「はい。いただきます」
ぐらいのニュアンス。
わたしが生まれた地方の、家族内の会話としては珍しくないと思います。
それはともかく。
本題の、
あいさつ的なことばに関する五木さんのコメントは、
まったく同感。
礼儀だと思います。

 

・初蝶を追ひてどこまで目の泳ぐ  野衾