『これから出る本』のこと
これほど分かりやすいネーミングはなかなか無いのでは、と思われる『これから出る本』。
日本書籍出版協会が発行しており、
近々刊行される図書につき、
簡潔なことばで内容を読者に提供するB5判の冊子。
ことしいっぱいで休刊になるとのお知らせがありました。
春風社を創業した折、
協会の担当の方を訪ね、
つくり立ての出版社として、
『これから出る本』に出稿したい旨を熱く訴えたことを懐かしく思い出します。
送られてきた「休刊のお知らせ」を見ると、
創刊は、
1976年(昭和51年)5月1日とありますから、
わたしが大学に入学した前の年。
そうだったのか!
そういえば、
大学生協の書籍部に行くと、
入口のところにいつも置かれてあったっけ。
その都度、無料でもらえる他のものといっしょに持ち帰っては、
つらつら眺め、
目が留まった本を赤丸チェックし、
つぎに訪ねたときに、
欲しい本を買ったり、
注文したり。
あれから46年。
一時は80万部を超える発行部数を数えていたそうですが、
いまは、その十分の一の8万部程度だとか。
これもデジタル化の波に押されて、
ということのよう。
とっくに終っている青春、
昭和の青春が、
あらためて終了の最後通告を受けた、
の感じではあります。
・卓袱台と吾と一椀の浅蜊汁 野衾