語りかけられたら

 

ひんぱんに、というわけではありませんが、
ときどき、このブログに載せている写真を褒められることがあります。
写真を載せるようになって十年ぐらい経つでしょうか。
はじめは、
なにを撮ろうか、
きょろきょろ周囲を見ながら街を歩いていました。
いつのころからか、そういうふうでなくなった。
この頃はといえば、
動物、植物はもちろん、空だとか雲だとか、電車だとか、なにかの影だとか、
いのちを持たないものまでが、
こちらを向いて語りかけてくるような具合。
きょう載せるのも、
そんなふうにして撮った写真です。
会社の近く、
道路沿いに置かれたオブジェ。
会社の行き帰り、
この道をもう二十年ほど歩いているのに、
立ち止まって見たことがありません。
それなのに、
きのう初めて立ち止まりました。
「オレを撮ってくれ」
と、
言われたわけではないけれど、
それに近いことを小声で囁かれた気がしました。
そんな顔して…。
で。
左右を見、
クルマが来ない隙をねらって急ぎ道を横断し撮った一枚。
ふむ。
大学時代からの友人が酒に酔ったとき
の顔に似てないこともない。
あ!
いま写真を見たら、
字が書いてある。
「青少年諸君しっかり頼む」
へ~。
知らなかった。

 

・嗚呼嗚呼と春を横切る烏かな  野衾