横浜写真

 編集中の本に入れる写真を撮りに、カメラマンの橋本さんと街にでる。
 まずは大岡川に架かる橋。京浜急行日ノ出町駅のちかく、伊勢佐木町へ向かう道が大岡川と直角に走っており、川かと見ればそこが長者橋。昭和八年の竣工になる橋で石造りの堂々たるものだ。つぼみが膨らんだ桜の枝振りもよく、ひかりがあふれ、いい写真が撮れただろう。
 つぎはクルマを飛ばして保土ヶ谷コットンクラブへ。月に一度の会合のため、ママは仕込みに余念がなかったが、時間を割いていただき、店のカウンターを中心にバーの雰囲気がでるようフラッシュをたかずに撮影。
 ママにいとまを告げ今度は伊勢佐木町へ。夕刻のこととてネオンがちらほらと。有隣堂のあるメインストリートは着飾った昼の街でも、裏手に回り福富町へ入ればこっちは夜の街。撮影のポイントを探してふたりであっちこっち歩いていたら、ガラス戸を開けて呼び込みの態勢に入っていた兄ちゃんがサッと中へ隠れた。しばらくすると擬態でひっくり返った虫が起きだすように、また現れ、興味深げにこちらを見ている。面積の少ないピチリとした服を身に纏った女性が相応しい道で、白いブラウスに紺色の制服を着込んだ女性のほうがかえって目立つしセクシーに見える。オヤブンがかつて遊んだ頃とはだいぶ変わってしまったのだろう。半日の撮影行にしては充実していた。六時半帰社。