再会

 先年亡くなった祖父が夢にでてきた。秋田の家だった。
 祖父もわたしも明るくふるまってはいたが、ふたりとも、これが最後になるだろうとわかっているようなそんな場面。
「じゃ、またね、おじいちゃん」と言ったら、ちょっと待てと言って祖父は寝床に戻り、風呂敷包みを持ってきた。ふるえる手で中からとりだしたのは、昔から大事にとって置いたらしい写真で、何枚か選んでわたしに持たせようとしているようだった。そのこころが有難く、目頭が熱くなった。
 そのまま目が覚めたら、泣いていた。祖父は百まで生きた。最後までわがままな祖父だったが、無言で何かを伝えようとしていた姿が忘れられない。秋田から帰る折、いつも玄関先で祖母と並んで見送ってくれるのが慣わし。言葉で最後に言われたのは、「おまえは少し呑み過ぎだ」。祖父はいなくなったが、そりゃあ、じいさんの孫だものとうそぶきながら呑んでいる。大好きな祖父だった。どうしてこんな夢を見たのか、わたしなりに納得するところがあるが、私的に過ぎるのでそれは差し控える。