やばくね ⤴

 

桜木町駅で電車を降り、エスカレーターで地上へ向かっていると、
五、六段前で、
ふたりの若い女性がなにやら会話をしています。
話の内容までは分かりませんが、
髪の長い方の女性がさいごに「やばくね ⤴」
ああ、またかと思いました。
はじめて聴いた時、
へんな言い方だなあと思って耳に残ったのですが、
あれよあれよという間に広がって、
このごろは、
ちっちゃい子どもまで
やばくね ⤴ やばくね ⤴ やばいんじゃね ⤴
の大合唱。
と、
こんどはいい歳の大人まで。
ことばの感染力は大したものです。
「やばくね ⤴」を使っているひとを見ると、
いじわるな見方かもしれませんが、
話のさいごにたまたま「やばくね ⤴」と言うのではなくて、
極端なことをいえば、
話の中身はなんでもよく、
とにかくいま流行りの「やばくね ⤴」を使いたくて、
とりあえずなにか口に出している、
そんな印象さえ受けます。
話したことが相手に伝わろうが
伝わらなかろうが、
そんなことよりも、
「やばくね ⤴」を上手なニュアンスで言えた
ことに満足しているようにさえ
見えます。
わたしはぜったいに使うまい、
とは思っているのですが…

 

・梅が香や日の出の里の神さぶる  野衾