孤独について

 

子供の孤独は成人の孤独よりもっと深く秘められている。
わたしたちが
自分の子供のころの孤独、青春期の孤独を、その奥深い次元で把握するのは、
後になってからということが多い。
人生の最初の四分の一の時期の孤独をひとびとが理解するのは、
晩年の四分の一の時期においてである。
(ガストン・バシュラール/及川馥=訳『夢想の詩学』ちくま学芸文庫、2004年、p.179)

 

バシュラールはフランスの哲学者(1884-1962)ですが、
『夢想の詩学』は
原著が1960年に発行されていますから、
バシュラール最晩年の著作といっていいでしょう。
そうすると、
引用した文章も、
博学多識の根底に
著者の実体験が重きをなしていると思われます。

 

・恋よりも情ふかまりぬ桜かな  野衾