こころの友

 

ひとり燈火(ともしび)のもとに文(ふみ)をひろげて、
見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる。
文は、
文選のあはれなる巻々、白氏文集、老子のことば、南華の篇。
この国の博士どもの書ける物も、
いにしへのは、
あはれなること多かり。

 

徒然草第十三段。
徒然草は、高校に入ってまず習う古文だったと思いますが、
語句の意味に終始し、
テストで点をとることにあくせくと、
味わうところまでは到底及びませんでした。
いま読むと、
付き合いのあるあの人この人よりも、
上の文章を書いた昔の人がなつかしく思えてきて、
兼好法師もそのような気持ちだったのかと想像されます。
そう思うのは、
この世のわずらわしさが身にしみ、
嫌気がさしている証かも知れず、
それもまたいつの世も変わらずなのだな
と思うことしきり。
南華の篇は、荘子。

 

・春去ればポニーテールの揺れて過ぐ  野衾