「えらぶ」と「ならべる」

 

伊藤博の『萬葉集釋注』が八に入りました。
歌の解釈がなるほどと腑に落ちる
だけでなく、
子どもの頃からふつうに使ってきた秋田のことばが出てきたりして、
ハッと目をみはることがしばしば。
二重三重におもしろい。
ことばの伝播についても調べたくなります。
編集者の観点からいえば、
一般的な一首ごとの注解でなく、
意味のあるかたまりは歌群としてあつかい、
まずそのかたまりの意味を解き明かし、
そのうえで一首ごとの注解を加える形がとられているので、
なにをえらび、
どうならべるかの手本として読むことも可能。
「えらぶ」「ならべる」
これが編集という仕事の要諦と思われ、
さらに、
そういう見方をすれば、
編集だけに限らない射程の広い営みということになりそうです。

 

・朝(あした)に見夕べにもまた梅の花  野衾