たいくつだなぁ

 

ソファに父とならんで座っていた母がそう言った。
すると、
父がやおら立ち上がり、
テレビの横の駄菓子が置かれたコーナーに歩いていった。
ここまでは、
母の「たいくつだなぁ」と
父の動作に関連があるとは夢にも思わなかった。
さて父は、
駄菓子の中から、
「でん六 味のこだわり」を取り出し
母に渡したのだった。
父はにこにこしている。
はは~。
なるほど。
「たいくつだなぁ」はどうやら、
「たいくつだから、でん六「味のこだわり」の小袋をとってくれ」
の後半の部分の省略形のようなのだ。
母に「そうなのか?」
と尋ねたところ、
「んだよー」と。
「んだよ」は秋田弁。
「そうだよ」の意。
母は、
「さがなっコ、さんびぎ入っていだ!」と、
うれしそうに言いながら、
でん六「味のこだわり」をポリポリ食べている。
父はただ笑っている。

春風社はきょうが仕事始め。
本年もよろしくお願い申し上げます。

 

・故郷やびりりと青き大旦  野衾