猫皿

 

家人が帰宅早々、
「こんなの買ってきた」と、わたしの目の前に差しだした。
見れば小ぶりの小さな皿。
灰皿のようでもあるけれど、
灰皿にしては
吸いかけの煙草を置く用のくぼみが二つ。
どうして二つ?
しばらく考えても思いつかず、
家人に尋ねると、
猫の顔に見える皿だよと。
ん!? あ!
たしかに猫だ。
きけば、
障害者の支援施設「秦野ワークセンター」の方の作品とか。
猫に見えた瞬間から、
もはや猫以外には見えなくなった。

 

・柿二つならび明るむ昼の卓  野衾