感動は

 

先週でしたかね、
桜木町駅で電車を降り、
地下道にもぐりエスカレーターで地上へ上がって、
くもり空の下てくてく歩いていると、
八十がらみでしょうか、
もう少しいっていたかな、
高齢の男性二人がゆっくり歩いてきました。
すれちがいざま、
「……ても、感動しなくなったね。……」
ドップラー効果よろしくそこだけしか聞き取れませんでしたが、
おそらく、
なにを見てもあまり感動しなくなった
ということではなかったかと想像されます。
さてじぶんはどうかとしばし反省。
ふりかえって二人を目で追うと、
駅へは向かわず、
野毛のほうへゆっくり曲がっていきました。

 

・七月や明と暗とのあはひにて  野衾