リュックを叱る

 

一昨日のことですが、
病院ぎらいのわたしが病院に行ってきました。
二か月半に一度ですが、
気が重い。
しかも、
かかっている科が違うため午前と午後に分け
二度までも。
午後は、
診察を受けにくるひとの数が午前に比べてぐっと減り、
それだけで、
病院ぎらいのわたしとしては
息がつけます。
受付を済ませて
廊下のベンチに座って待っていると、
対面に設置されたベンチに
リュックを背負った白髪の男性が「よっこらしょ」
と腰を掛けました。
おもむろにリュックを外し、
じぶんの右わきに置きました。
と、
黒い大きめのリュックがまんなかからくにゃりと折れ曲がり
ベンチから落ちそうになりました。
老人は、
あわててリュックをもとの位置に戻しました。
やれやれ…
と、
また、くにゃり。
老人急いでリュックをつかみ、
「静かにしろ!」
と声を発し、
ていねいにリュックの居住まいを直してあげる風。
うん。
気持ちは分かる。

 

・破れあり意味をなさずの網戸かな  野衾