小苗打ち

 

秋田ではコニャウヂといいました。
いいました、というのは、
いまは、
田の隅のごく一部を除き
すべて機械で行いますから、
事実がなくなるのと同じくして
そのことを表すことばも聞かれなくなったからです。
辞書によれば、
小苗打ちとは、
田植えの際に早乙女のまえに苗の束を放り投げ配ること。
わたしも子供のころやりました。
手伝いの仕事ながら、
だれかが必ずやらなければならない仕事ですから、
おとなたちに混じって
重要な任務をまかされた気がしてわくわくしたものです。
投げる方向をまちがえると、
放り投げられた苗を拾うために
早乙女たちが無駄な動きをすることになりますから、
微妙なコントロールが必要でした。

 

・雉啼くや田に張る水の清々し  野衾