ドリトル先生に会いたい

 

『ドリトル先生のサーカス』に
年老いた馬車引き馬のベッポーという馬がでてきます。
ベッポー、ベッポー、
はて、
どこかできいたことがあるような、
つらつら考えていましたら、
ミヒャエル・エンデの『モモ』に
道路掃除をなりわいとするベッポじいさんというひとがでてきた
ことを思い出しました。

 

いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、
わかるかな?
つぎの一歩のことだけ、
つぎのひと呼吸のことだけ、
つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。
いつもただつぎのことだけをな。
……………

 

ベッポじいさんがモモに語る言葉ですが、
これはまた三十五年も馬車をひき
いまやすっかり老衰した馬ベッポーの考えでもあるような気がしてきました。
エンデもドリトル先生を読んでいたかな?
そんなことを想像したり…
それはともかく。
ベッポーをはじめ、
にんげんのために働いて働いてきた馬たちのために、
ドリトル先生は有り金ぜんぶをはたき、
借金してまで牧場を買いいれ、
開放しました。
野山をのびのび走りまわる馬たちの姿が目に浮かぶようです。

 

・花ぐもり日のなごり浴び本をおく  野衾