友人

 小社HPにてコラム「裸足のキャンベラ」を書いてくれている恵子さんから会社に電話。どこから? と訊いたら、キャンベラからだった。
 四年間のオーストラリア暮しに終止符を打ち、ご家族で日本に帰ってくることになったそうだ。感慨もひとしおだろう。かつて、わたしの家に遊びに来た時、ラーメンの丼に顔を突っ込み、汁を最後まで飲むべく丼をきつく掴んで放さなかった子供らも大きくなったろう。小学校五年生と二年生とか。日本の学校に入り直してとなると、子供にとっても大変だ。
 友人と呼べるひとのことを考えると、人生の時間は短いとこの頃よく思う。ある時期に知り合って、それから長く付き合うようになる者同士には、五年十年なんてあっという間だ。恵子さんも侍ミュージシャンの上田さんも秋田の我が家に遊びに来たことがある。あの頃はまだ祖父母も元気だった。ひょうきんな祖父は、朝、毛糸の帽子を被り飼っている鶏に餌をやりに行くのに、ゴム手袋をした手をサッと上げ、おどけて見せた。
 年をとるに連れ、時間が早く感じられるというのは本当だ。