少女になる母

 

正月帰省した折、
ふと見ると、
居間の隅に置いてある小さなテーブルに若いころの
母の写真が置いてありました。
写真館で撮った写真とすぐに分かります。
三枚あったので
母に断り一枚もらってきました。
結婚する前に見合い写真として撮ったものではないかと思われます。
二十代の母。
かあさんになる前の母は、
若いころのぼくに似ている気がします。
秋田に電話すると、
父がでることが多いのですが、
たまに母がでると、
もらった写真の印象がつよいせいか、
声の主がだんだんと
少女にかえっていくような不思議な感覚にとらえられます。

 

・ぬばたまの眼に映ゆ冬の炎かな  野衾