被災地の声

 

東日本大震災が起きたとき、
わたしは会社にいた。
あの日、
遠くから来ている者は会社泊、
わたしは国道一号線を歩いて保土ヶ谷の自宅へ帰った。
あれから七年がたつ。
昨年の秋ごろから、
体の不調に悩まされ、
医者にかかり、
体重が減り血圧が下がって歩くことすらままならない日を送った。
わたしの知らないところで
体とこころに
余震が襲っていたかもしれない…。
縁ある方から
石巻からの手紙」という訳詩をお預かりした。
石巻を訪ねた日のこと、
あの日の空気感までがすぐに蘇った。
第二連一行目に
「空っぽの窓枠のうつろな視線」
とある。
石巻を訪ねた日にお会いした方々の視線と重なる。
あれから七年、
ひとりひとりの日常は癒されたろうか。
いま何を視ているだろう。
こころのなかに池があって、
ひとしれずの波紋があとからあとから、
黙する声を届けてくる。

 

・荒梅雨や平成がゆく猫二匹  野衾