勝烈庵
三人でてくてく歩いて馬車道の勝烈庵へ。老舗の落ちついた雰囲気がいつも気持ちいい。イシバシはひとくちカツ定食、武家屋敷は牡蠣フライ定食、わたしは海老フライ定食。海の老か。ひげがね。
お店で働く女性たちの気持ちよいこと。マニュアルに頼らないきびきびした清清しさと自然な応対が心を和ましてくれる。
「すみません。キャベツをください」と、武家屋敷。「わたしも…」とイシバシ。キャベツとご飯はお替りができる。わたしの皿のキャベツは三分の一ほど残っていて、どうしようか迷って声を発しなかった。イシバシと武家屋敷の皿にキャベツをのせたあと、給仕の女性が「キャベツ、いかがですか」とわたしに訊いた。「はい。少しください」「上から失礼します」。皿にまだ残っていたからそう言ったのだろう。気が晴れた。
創業者が板画家の棟方志功さんと友人だったそうで、店内には棟方さんの板画がさりげなく飾られている。一階から二階へ上がる階段の踊り場に棟方さんのエピソードを綴った額が置かれている。「わだばゴッホになる。」の棟方さんが店を訪れると、あの津軽弁そのままに話をされたとか。
帰りは来た時と別の道を通って紅葉坂へ。途中、大岡川。親分、チャカをぶっ放され飛びこんだのはここか?